熱老化

鉄粉コアの熱老化として知られている現象は、近年、エレクトロニクス産業で確認されています。この現象は鉄粉材料に特有です。フェライトも、モリパーマロイ（MPP）のような他の粉末タイプも同様に影響を受けません。熱老化とは、コアが一定期間高温にさらされるとコア損失が劇的に増加するという鉄粉コアの特性を指します。コア損失が増加すると、パフォーマンスの効率が低下し、自己発熱が増加するサイクルが発生し、さらに損失が増加するなどの原因になります。最悪のシナリオでは、チェックされていない場合、このサイクルは破壊的な熱暴走を引き起こす可能性があります。この問題をさらに面倒なものにしているのは、動作温度によっては、熱老化を引き起こすのにかかる時間が、通常の生産ラインのテストを超える、数百時間または数千時間になる場合があるという事実です。したがって、検出されないままになると、問題は潜在的な市場不良の問題につながる可能性があります。熱老化は、鉄粉コアに以前から存在していた問題であると思われますが、65°C以下の環境で電子機器が動作する場合、それは大きな問題ではありませんでした。しかし、85°C以上の高温環境において使用される電子機器の普及と、鉄粉を含む可能性のある成形インダクタスタイルの人気により、この現象に新たに注目が集まっています。鉄粉コア材料は、信頼できる性能と価値の実績があり、高温環境においても、適切な材料が使用されている場合、幅広い用途に最適なコア材料です。Coilcraft XGL、XEL、XAL、XFL、PFL、およびXPLファミリ（a.k.a. Ltra）はこのような材料を使用しており、次の図に示すように熱老化現象の影響を受けません。時間と高温の様々な組み合わせの条件下でコア損失を測定しました。図1は、Coilcraft鉄粉コアインダクタに使用される材料の安定性を示しています。コア損失は、165°Cで20,000時間のエージング後でも安定しています。（高温下で2年間における変化は5％未満。）

次の図は、他社の鉄粉コアインダクタが劇的に性能を低下させる可能性があることを示しています。図2は、Coilcraft XAL7030-102と他社の2つの市販の鉄粉コアインダクタの85°Cでの安定したコア損失を示しています。図3に示すように、125℃では、Coilcraftインダクタのコア損失は一定ですが、他社のインダクタではわずかな増加傾向が見られます。

図4と図5は、熱老化によるコア損失の劇的な増加を示しています。他社のインダクタは2つとも、155°Cでわずか1500時間後にコア損失が5倍以上増加します。165°Cでエージングのインダクタでは、この増加はさらに劇的です。この場合、インダクタの1つでは、コア損失が元の性能の10倍近く増加します。

図2. 85°Cでは、3つのインダクタすべてでコア損失が安定しています。図3. 125°Cでは、Coilcraftインダクタのみが一定のままです。図4. 155°Cでは、他のインダクタは劇的なコア損失を示します。図5. 165°Cでは、1つのインダクタがコア損失のほぼ1000％増加を示しています。Coilcraftや他のインダクタ製造業者が実際に使用する材料の詳細は非公開であり、独自の情報であるため、熱老化の寿命効果を正確に予測することは不可能です。また、特定のアプリケーションでの使用の適切性に関する決定的なステートメントを作成することもできません。ここで提供される情報は、鉄粉コアの熱老化現象について通知するという単一の目的で説明されたテスト結果に基づいています。

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